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# イスラエルはイランとの対立が「代理勢力」だけでなく直接対峙となる新局面
2024/04/15 06:55
 イランは1日にシリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館をイスラエルが攻撃し、イラン軍将校が死亡した事件への報復としてミサイルを発射した。 
 
 イランが攻撃を早くから表明していたのは、戦争を始めるというよりも、むしろ主張を通したい証しだとの声が多く聞かれた。
 そのため、この攻撃を開始してからほどなく、イランの国連代表部は「この問題は終結したとみなすことができる」と表明した。
 
 イランのミサイルと無人機によるイスラエルへの攻撃は
   不安定な中東地域
にとって危険な転機となった。
 今回の攻撃ではイラン国内からの直接攻撃は前例のない行動を引き起こし、イランは大成功を収めたと宣言した。
 しかし、米英などの同盟国からの支援により、イスラエルはミサイルや無人機の大半を迎撃したこともあり、死者は出ず、被害も軽微だった。
 そのため、攻撃規模の大きさをしのいだイスラエル側も大成功を収めたと宣言している。
 両国ともこれまでの対立関係が変化したとみている。
 もともとが、イスラエルの極右勢力のネタニアフが政権を維持するために目論んだ軍事的な野望を背景にした諜報活動や情報誘導、暗殺などを繰り返して中東における不安定化を引き起こしていることに注目すべきだろう。
 
 大規模なイスラエルへの限定的な報復行動に踏み切ったイランは、イスラエルが再び攻撃される可能性があることを認識しなければならない「新しい方程式」と表現した。
 これに対してイスラエルは、自国を攻撃してくるいかなる国も攻撃すると表明した。
 14日には、安全保障を巡るイスラエルの閣議とともに、主要7カ国(G7)が首脳会議を実施した。
 米国を含む同盟国は、イスラエルが自制し、事態をさらにエスカレートさせないことを望んでいる。
 イスラエル国民の多くがこのアプローチに前向きな一因は、イランの攻撃が失敗に終わり、武力による迅速な示威の必要性が低下したと受け止められていることにある。
 パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスに対する戦争遂行を巡り、米政府から数週間にわたって批判されていた。
 イランによる攻撃を軽微に抑え込んだネタニアフ政権に対し、イスラエル国民は再び一体感を感じ、それに満足していることも影響しているといった世論誘導が成功したともいえる。
 イスラエル参謀本部諜報局トップを務めていた
   タミア・ヘイマン氏
は「イスラエルは今夜、初めて同盟国の一員として行動した。その同盟こそ、ガザ戦争の次の答えだ」と述べた。
 ネタニヤフ首相擁立を続ける極右派勢力は、イスラエルが早急に手痛い反撃を実行しない限り、イランとその代理勢力からは弱腰と判断される可能性が高いと指摘しており、単独でも反撃したい思惑を明らかにし、ベングビール国家治安相は「いま必要なのは、徹底的な攻撃だ」と主張した。
 今後の進め方に関する意見の相違の一端は、13日夜の攻撃をイラン大使館攻撃への報復と見るか、イランの対イスラエル政策の一環と見るかによって違いが生じている。
 多くのイスラエル国民にとって、イランは地域の敵対勢力を操る人形使いであり、その最たる操り人形が、昨年10月にイスラエルを奇襲攻撃したハマスだが、100人以上の人質がいまだに解放されておらず、数千人のハマス戦闘員がガザ南部の都市ラファに集結している状況となっている。
 イスラエルの元情報将校で、イランについて多くの著作がある
   アビ・メラメド氏
はメディアの取材において、イランの攻撃後、ラファ攻撃とハマス解体を主張するイスラエルに米国が同調することを期待している主張したが、イスラエルの強欲さを支援する義理はない米国民が妥協する可能性は低く、無理な話だろう。
 スモトリッチ財務相もX(旧ツイッター)への投稿で「教訓を学び、方向転換し、今すぐラファに進み、ガザ全域でイスラエルの完全な支配を回復する時だ」と述べ、同様の見解を示した。
 米国は、ラファに避難している多くの市民とガザの人道危機拡大を理由に、このような作戦には警告を発してきた。
 ハマスがイスラエルからの停戦と人質交換の申し出を拒否したのは、親イラン勢力がおびえるよりもむしろ結束していることを示すとの見方もある。
イスラエル戦時内閣メンバーのガンツ前国防相に助言する
 イスラエル軍情報部門のディレクターを務めた
   アモス・ヤドリン氏
は「昨夜の攻撃は、戦争の戦略的変化、さらには終結につながる可能性がある」と指摘したうえ、「ハマスが十分に打ちのめされた今、イスラエルは恒久的な停戦とガザからの撤退と引き換えに、人質全員の返還という取引に合意し、国際的な正当性を取り戻すことができる」とみている。
 
 アモス・ヤドリン氏はイスラエル戦時内閣メンバーのガンツ前国防相に助言などを行っている。
 イスラエルにとってもうひとつのジレンマは、親イランのイスラム教シーア派組織ヒズボラと戦っているレバノンとの北部国境で、イスラエルはこの紛争の背後にもイランがいると見ており、外交あるいは武力行使により、自国民を同地域に帰すことができなければならないと続けた。
  

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