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# 北朝鮮労働者の海外派遣は人権侵害の温床
2018/02/18 05:55

 北朝鮮政府が外貨稼ぎのため、これまで行ってきた自国労働者の海外派遣は
   人権侵害の温床
として国際社会から厳しい批判を受けている。
 
 国連安全保障理事会は制裁決議2397号で、国連加盟国に自国内の北朝鮮労働者を帰国させることを2019年12月までに義務付けた。
 
 この決議に基づき、実際に帰国させる事例が相次いでいる。
 一方で、未だに働き続けている労働者も少なくない。

 オランダのライデン大学が6日ポーランド、ロシア、アフリカ諸国、チェコに派遣されている北朝鮮労働者の実態についてまとめた報告書が発表した。

 北朝鮮の強制労働の実態に関する報告書
   「利益のための人々、世界的規模の北朝鮮強制労働」
は、労働者の募集、送り出しから労働、給与、休暇、現地当局との関係に至るまでを詳細に記録したもの。

 報告書で最初に取り上げたのは、ドイツのメディア VICE Germanyによる報道で人権侵害の実態が広く知られるようになった、
 ポーランド・グディニアのクリスト造船所で2014年から2016年まで働いていた北朝鮮労働者Kさんの証言。
 
 勤務時間については規定の勤務時間は1日8時間だったが、10時間から12時間働くのが普通で、指示により24時間勤務させられたことも2回あったという。
 その場合、30分の休憩後、翌日の勤務が始まった。

 また、4年働いてようやく一時帰国の申請ができたという。
 同じ北朝鮮からきた労働者には1ヶ月の休暇が与えられるが、7〜8年働いているのに、一度も帰国していない人も多かったという。

 また、最初の3ヶ月の月給は6ズウォティ(約192円)だったが、それも受け取ったのは5ヶ月過ぎてからだという。
 
 その後、最高で700ズウォティ(約2万2000円)を受け取ったものの、残業しても夜間勤務しても額は変わらなかったという。

 この労働者は、一度だけ「私の給料は4500ズウォティ(約14万5000円)のはずだ、確認して欲しい」と受け入れ先に抗議した。
 しかし、マネージャーから「あなたはその理由を知っているはずなのに、何が問題か」と言われた。
 この理由は明らかなのでそれ以上の抗議を諦めたという。

 こうした劣悪な労働環境にあって、他国の外国人労働者が羨ましく、自分自身を惨めに感じたという。
 
 彼らは月給が6000ズウォティ(約19万3000円)だと言うので、自分は2000ズウォティ(約6万4000円)もらっていると言った。
 だが、実際は500ズウォティ(約1万6000円)しかなく、真実を語ることはプライドが許さなかったという。

 寮費は給料から天引され、水と電気を節約するとの名目でテレビを見ることも、温水や暖房を使うことも許されなかったという。

 また、部屋はいつもジメジメしていて、片隅には工事用の型枠が置かれていた。それが放つ悪臭で頭痛に苦しめられていたという。

 一方、報告書ではチェコにおける北朝鮮労働者の実態についても言及している。
 
 同国は1998年から2008年までの間、最高で399人の北朝鮮労働者を受け入れていた。
 
 労働者はほとんど20代前半の女性で、靴、衣類、食品など少なくとも9ヶ所の工場で働いていた。

 チェコ駐在の元北朝鮮外交官で、2000年から2002年までパルドゥビツェ市で北朝鮮労働者の管理を行っていた
   キム・テサン氏
によると、労働者は2〜30ドルの月給の55%を上納させられた。
 また、最高指導者の生誕記念日に贈る花の代金まで天引きされていた。
 
 集めた上納金は、ソシエテ・ジェネラル銀行系列のコメルチニー銀行から北朝鮮に送金されていた。

 なお、チェコ政府は2008年、自国内で働く北朝鮮労働者が人権侵害状態に置かれていることを重く見て、雇用を取りやめ全員を撤収させている。
 
 さらに報告書は、ロシアでの勤務経験を持つ元北朝鮮労働者8人の証言を元に、深刻な人権侵害の実態を明らかにした。

 ブラゴヴェシチェンスクの工事現場で働いていて2015年に脱北したAさんは、当局に毎月200ドルを上納していた。
 
 ノルマが達成できなければ帰国させられてしまうため、午前6時から午後4時までの22時間働いたこともあるという。

 また、10年前と比べて上納金の額が倍になったと証言している。
 
 これは、ロシアの通過・ルーブルが暴落したにもかかわらず、北朝鮮当局が要求する額がドルベースであるための措置という。

 深刻な人口減と労働力不足に悩むロシアの沿海州、アムール州は、大勢の北朝鮮労働者をこれまでも受け入れてきた。
 
 国際社会は、北朝鮮の労働者派遣を完全に封鎖する方向で動いているが、ロシア現地からは安価な労働力の確保から受け入れを続けたいと主張しているという。
     
 

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