2月の米ミシガン大学消費者マインド指数(確報値)は64.7と前月の71.7から低下した。
エコノミスト予想は速報値と同じ、67.8だったが、トランプ大統領の
関税政策
が物価を押し上げるとの金融市場の懸念が現実化しそうな市場心理が台頭しつつあり、米消費者のセンチメントは2月下旬に低下したことからも、長期のインフレ期待が30年ぶりの高水準となった。
1年先のインフレ期待は4.3%と上昇した。
なお、前月は3.3%だった。
また、市場予想では4.3%だった。
5-10年先のインフレ期待は3.5%と1995年以来の高水準になっている。
前月は3.2%、市場予想3.3%だ。
高額商品の購入環境に関する指数を含め、指数を構成する5項目全てが悪化した。
向こう1年で失業率が上昇するとの回答率は50%を超え、2020年以来の高さとなった。
貿易戦争の見通しが消費者物価の先行きを暗くしている。
このため、インフレ期待の重要性が改めて高まっている。
この結果、消費者のセンチメントは今年に入って低下した。
昨年11月の選挙後に共和党支持者の間で高まった熱気とインフレ緩和への全般的な期待で、センチメントは押し上げられていたが、劇場型政治家が経済活動の息の根を止めかねない成果追求に急ぐ姿勢が露骨となり、思いつきとも言える暴走政策が繰り返して始まり、トランプ政治への米国民の期待感がしぼみ始めたようだ。
関税とそれが消費者物価に与え得る打撃が不透明なことは、
政策金利に影響
を及ぼしかねないことや、移民制限に伴う移民労働力の大幅低下による工事の遅れなどで不動産市場が混乱することも懸念され、春以降の農業分野での低賃金労働力が確保できなくなり食料価格の暴騰が起きる可能性すら意識され始めている。
トランプ政治の弊害が出始めており、インフレ抑制の進展が失速したことを踏まえ、連邦準備制度理事会(FRB)当局者らは追加利下げを急いでいない姿勢を示したことで、政治的対立が激化しかねない状況に陥り始めた。
多くのエコノミストもインフレ加速を予想している。
ブルームバーグがまとめたアナリスト調査では、1-3月(第1四半期)の個人消費支出(PCE)コア指数の上昇が予想されている。
21日発表された別の統計では、2月の米企業活動ペースが鈍化した。
サービス業活動の縮小が響いた。
天候不順による新規住宅の供給が停滞することも懸念され住み替えが滞っていることもあり、1月の中古住宅販売件数は昨年9月以来の減少となった。
現況指数は65.7と、前月の75.1から低下。家計状況に対する見方も悪化した。
全体のセンチメント低下は、支持政党別では民主党と無党派が大半を占めた。
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