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2010/06/26 07:46
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米国の上下両院協議会は25 日、銀行の自己勘定取引の禁止やデリバティブ(金融派生商品)市場監視に関する金融規制改革法案の一本化で合意した。 また、金融機関の破綻が市場を揺るがすような大手機関の整理の手続きやヘッジファンドの登録、格付け会社を相手取った訴訟を容易にする措置などでも合意している。 この法案は大恐慌以来の大幅な改革で ウォール街への監視の枠組み が根本から変わることになる。 法案は 消費者保護とリスク抑制 市場に対する脅威発生の監視 規制当局の緊急権限強化 などにより大き過ぎてつぶせない機関の公的資金による救済といった事態を避けることが狙い。 上下両院案の一本化作業には2週間を要した。 この法案は今後、両院の本会議で採決される。 議会指導部は来週に採決する方針で、7月4日までにオバマ大統領の署名を得て成立する見通し。 両院議員らが25日朝に合意した法案の骨子は以下の通り。 ボルカールール ポール・ボルカー元米連邦準備制度理事会(FRB)議長が提唱した銀行に自己勘定取引を禁じる案は、上院側が歩み寄る形で緩和された。 銀行によるプライベートエクイティ(未公開株)ファンドやヘッジファンドへの投資は認められる。 ただ、ファンドの資金の3%を超えて出資することはできない。 また、銀行の中核的自己資本(Tier1)の3%を超える投資もできない。 デリバティブ(金融派生商品) デリバティブ規制についての最大の争点は、スワップ取引の一部を銀行から切り離し子会社に移管することを求めることだった。 連銀窓口貸出利用などの優遇を得ている貯蓄金融機関から高リスク業務を切り離すことが目的で上院農業委員長を務めるリンカーン議員(民主、アーカンソー州)の修正原案は商業銀行によるスワップ、取引を完全に禁止する内容だったが、コスト増大や競争力低下への懸念を理由に反対が根強かった。 土壇場の交渉によって結局、リスクヘッジのための 金利スワップ 為替スワップ については銀行が取引業務を行えることで、全当事者が合意した。 一方、FDICの保険の対象となる銀行は2年以内に、未決済の クレジット・デフォルト・スワップ(CDS) など を別資本の子会社に移管しなければならない。 消費者保護 法案は、米連邦準備制度理事会(FRB)の下に 消費者保護局 を創設し、銀行と金融サービス会社を監視することを定めた。 クレジットカードや住宅ローンなどで不正行為から消費者を守ることが狙い。 金融安定監視委員会 ウォール街の大手金融機関や他の市場参加者を監視し、システミックリスクの発生に対応する最上位の規制当局として ファイナンシャル・スタビリティ・オーバーサイト・カウンシル (金融安定監視委員会 FSOC) を創設する。 銀行の自己資本 銀行持ち株会社の自己資本が子会社である銀行を下回ることはできない。 これはトラスト型優先証券(TruPS)の利用に影響する。 資産規模150億ドル以上の銀行は5年間でTruPSを普通株その他の資本証券に転換しなければならない。 2000年以来TruPSによって資本を調達してきた地域銀行には20年の猶予が認められた。 米連邦準備制度理事会(FRB) FRBの監督範囲を拡大すると同時に透明性を高める。 FRB議長は新設のFSOCの一員となる。 格付け会社 特定の証券について当局が格付け会社を選択する規則については、米証券取引委員会(SEC)が2年をかけて検討することになった。 格付け会社を相手取った訴訟を容易にする責任条項についても内容が緩和された。 プライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社とヘッジファンド 大規模ヘッジファンドとPEファンドはSECへの登録が義務付けられ、連邦政府の監視下に置かれることになる。 ベンチャーキャピタル(VC)ファンドは登録義務を免れた。 破たん機関の整理 現在、商業銀行を整理する権限を持つFDICに、破たんが経済を揺るがすような 大手金融機関の整理の権限 も与える。 リスク移転 一部の住宅金融業者を除く貸し手に、証券化などにより 売却する貸し出し債権の少なくとも5% を自社で保持することを義務付ける。 金融危機の一因となった安易な資金調達・与信拡大を抑えることが目的。 受託者義務 株式ブローカーに受託者義務を負わせる案は、SECがそのような規制変更の必要性を検討することになった。 利益相反の情報開示を義務付けるとともに顧客の利益となる商品以外の販促を禁じる条項は当面、盛り込まれなかった。 保険業界 米国財務省の下に、保険業界監視のための フェデラル・インシュアランス・オフィス(連邦保険局) を創設する。 PR |
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