2024/12/07 05:51
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米国11月の雇用統計では ハリケーンと大規模ストの影響 で前月に急減速していた非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)が 前月比+22万7000人 と増加、エコノミスト予想値の22万人増を上回り回復を示した。 また、前月は3万6000人増(速報値1万2000人増)に上方修正された。 一方、家計調査に基づく失業率は4.2%に上昇し、市場予想の4.1%を上回ったことから労働市場は著しく悪化はしていないものの、減速傾向にあることが示唆された。 このところの雇用統計の数字は振れ幅が大きかった。 このため、エコノミストは3カ月平均を注視するようになっている。 非農業部門雇用者数の3カ月平均は17万3000人増に伸びが拡大した。 ただ、今年に入って見られた堅調なペースに比べると一段低いペースとなっている。 さらに、失業率が前月に比べて上昇し、長期失業を示す指標も3年ぶり高水準となるなど、労働市場の冷え込みも示唆された。 金融市場では、今月17、18両日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では追加利下げが行われるとの見方が強まった。 今回の雇用統計では、雇用市場は引き続き堅調となっているが、もはやインフレの大きな要因にはなっていないとの米金融当局の見解が裏付けられた格好となる。 ただ、物価上昇圧力は過去数カ月高止まりしているが、当局者は 景気を刺激 しつつ雇用を維持するために金利を引き下げ始めている。 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は今週、FOMCが9月に0.5ポイントでの利下げを開始すると決定しており、当局が労働市場を支援するという「強いシグナル」を送る意図もあったと説明している。 FOMCは11月会合では0.25ポイントの利下げを決定し、最近は一部金融当局者から利下げ休止時期が近い可能性を示唆する発言も出ている。 17、18両日のFOMC会合までには、消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、小売売上高の発表がある。 雇用者数の伸びをけん引したのは、医療と社会補助、 娯楽・ホスピタリティー、政府機関。一方で小売りは約1年ぶリの大幅減となった。 ボーイングでのスト終結により、耐久財製造業は2万6000人増加した。 労働参加率は62.5%に下がり、5月以来の低水準となった。 25歳から54歳の年齢層ではほぼ変わらずだった。 失業率が上昇したのは 一時的レイオフ よりも解雇が多かったことが影響したという。 自発的離職者や、すぐに仕事を見つけられなかった人も増えた。 27週間以上の失業者数は約3年ぶりの高水準に増加した。 平均時給は前年同月比4%増と、2カ月連続で同じ伸び率となった。 労働者の大半を占める生産・非管理職の賃金上昇率は前月比0.3%増となった。 賃金の伸びは総じて鈍化傾向にあった。 労働力の供給が潤沢な一方、新規雇用に対する需要が減退していたため、多くの雇用者が人材獲得のための魅力的な報酬提示を控えていたことが背景にある。 ただ、3日に発表された10月の米求人件数は増加した。 レイオフ件数は減少し、労働需要が安定しつつあることが示唆された。 今後については、トランプ次期大統領の経済政策、特に 不法移民の大量国外退去 懲罰的関税の導入 が労働市場にどう影響するか不透明な部分が多く、場合によっては強いインフレ傾向が出てくる可能性も捨てきれない。 なお、次期政権は連邦機関の人員削減も視野に入れており、新型コロナ禍からの回復の原動力となってきた 政府機関の雇用 に影響を与える可能性が高い。 PR |
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