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# サウジの権力闘争が激化する可能性は?
2019/09/19 06:21
サウジアラビアのサウジアラムコ社の石油施設に対するイエメンのフーシ派による無人機の攻撃が14日土曜に発生し、短・長期的な影響を伴うと見られている。

 攻撃の短期的な影響としては、サウジアラビアの石油生産の50%が停止されること。

 サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー大臣は、昨日の無人機による攻撃で、サウジアラビアの石油生産量が500万バレル以上減少したことを認めた。
 
 サウジアラビアの政府関係者が、同国領の中央部におけるイエメンの作戦を認めたのは、これが初めて。

 第2の短期的な影響としてサウジ国営のサウジアラムコ社の大きな経済的損失が指摘される。

 米国のメディアCNBCは、サウジアラムコ社の蒙った
   「損失が310億ドルに達した」
と報じた。

 短期的な影響の3つ目は、サウジアラビアの証券市場に対する影響として株価が2%下落する記録となった。

 長期的な影響としてイエメンの無人機の攻撃を受けた地域が、アブドルアジズ大臣が言うところの「サウジの石油産業の中心地」であり、今回の攻撃を米国の金融情報紙ブルームバーグが分析し、このたび攻撃された
   アブカイク精油所
の位置づけに注目した上で、「今回の攻撃は、サウジアラビアの心臓発作を誘った」と報じた。

 また、今回の攻撃が脱石油依存型経済を目指すサウジアラビアの国家長期戦略「ビジョン 2030」に直接影響を与え、サウジアラビアで独裁的な政治を強化してきた
   ムハンマド皇太子
への権力集中という目論見が水泡に帰す可能性がある。
 
 ムハンマド皇太子は最近、サウジアラムコ社の株の5%の譲渡に反対した理由で
   ハーリドアルファテフ前エネルギー大臣
を解任し、後任としてアブドルアジズ王子を任命しましている。
 
 この行動の目的は、サウジアラムコ社の株の譲渡を妨害する因子を排除することにあったといわれているが、イエメンのシーア派組織
   アンサーロッラー
による今回の攻撃により、サウジアラムコ社の株の一部の譲渡が困難となったか、取りやめになる可能性が浮上している。

 ムハンマド皇太子は、「ビジョン2030」をはじめとする自らの主要な目標の1つとして、サウジアラビアの石油部門に対する外国投資の誘致を掲げてきた。
 
 この攻撃により、外国投資の誘致には何よりも安全が必要なことから、イエメン軍による、サウジアラムコ社の石油施設への連続的な攻撃は、サウジアラビアが不安定化しており、同国の環境が投資にふさわしくないことを強く印象付けた。

 イエメンの首都サヌアから1200キロも離れた、サウジアラビア東部の石油施設に対する今回の攻撃から、サウジアラビア全域の経済インフラがイエメン武装軍の射程圏内にあることが明らかで投資リスクが大きく浮上した。
 
 この現実により、イエメンとの激戦を繰り広げるサウジアラビアにとって、この状況からの脱出が極めて困難であることが明らかになった。
 

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